パッケージ関連の製品を製造しており、日本だけにとどまらず世界的な視野を持っている朋和産業。朋和産業は元々海外志向が強く、実際に海外に複数の拠点を設けています。2017年には、東南アジアのタイに現地法人を設立しました。

ただ単に海外に朋和産業の支社や支店を設置するだけでも大きな出来事ですが、タイへは現地法人の設置ということでより朋和産業にとって大きなビジネスチャレンジとなったことだろうと思います。

2017年のタイ法人設置時

2017年当時、現地法人の会社名は「Howa Matai Packaging(Thailand)Co.,Ltd.」となっており、朋和産業株式会社と日本マタイ株式会社が50%ずつの共同出資をしていました。日本語で記すと「マタイ朋和パッケージング(タイランド)株式会社」となっていたことからもその事実が伺えます。2社の共同出資で設立された会社だったため、「朋和」と「マタイ」という2つの企業名が入っていたのですね。

パッケージは先進国だけではなく開発途上国などでも当たり前のように毎日使用されているアイテムです。特に途上国においては今後パッケージの使用量が爆発的に増えることが予想されており、それを見越した上での現地法人の設立だったのでしょう。

2025年、朋和産業のタイ法人がさらなる高みへ

2025年、朋和産業のタイ法人に新たな展開が訪れました。2025年3月31日をもって「Howa Matai Packaging (Thailand) Co., Ltd.(HMP)」に対する朋和産業の持ち株(50%)の全てをパートナーの日本マタイ株式会社に譲渡し、タイにおける合弁事業を解消しました。そのため、元HMPは、2025年4月1日より「Matai Trading (Thailand) Co., Ltd.」と社名変更し、再スタートを切っています。

一方、朋和産業は2024年4月、既にタイ国内に「Howa Packaging (Thailand) Co., Ltd.(HPT)」を設立しており、軟包装資材の製造・販売を行っています。これまでHMPの中で朋和産業が行っていた事業は、今回の合弁事業解消を機に全てHPTへ移管されました。

HPTの資本金はタイの通貨で2億バーツとなっていて、これは日本円に換算すると約8億7,000万円となっており、この出資金を見ただけで期待の大きさが十分伝わってきます。実は近年、朋和産業からタイへの軟包装資材の輸出は、著しい増加傾向にあるそうなのです。

朋和産業だけではなく様々な企業がタイに現地法人の設立を行っている話を聞きますが、ただ単に支社や支店を設けるだけではできないようなことも、現地法人を作っていると行いやすいのかもしれません。

SCGP RPとの合弁事業で経営力を向上

また、2025年4月3日、HPTは親会社(レンゴー株式会社)のタイにおける事業パートナーSCG Packaging Public Company Limitedの関連会社である「SCGP Rigid Plastics Co., Ltd.(SCGP RP)」に株式の25%を譲渡しました。つまり、HPTはSCGP RPとの合弁会社となったということです。

SCGP RPはASEAN域内最大の複合企業であるサイアム・セメント・グループにおいて、総合パッケージング・ソリューションを提供する企業です。既にタイを起点に10か国でビジネスを展開しており、経験も豊富と言えます。HPTは、SCGP RPと合弁事業を行うことで経営力の向上を狙えるのはもちろん、タイ現地における様々な取引相手との信頼関係を築きやすくなるのです。

今後、HPTはHMPに分散させていた経営資源を一点に集中させ、SCGP RPが今まで培ってきた経験を取り入れることでさらなる躍進を目指します。貿易の活発化を実現し、ここでの成功体験をもとに東南アジアでの展開を進めていく予定です。

新工場竣工でタイ事業は新たなフェーズへ

このサラブリ工場は、日本国内で培ってきた技術やノウハウを余すことなく投入し、「日本と同じ品質をタイで」という目標のもと建設されました。

新工場には大きく4つの特徴があります。

● 日本と同等の製造環境と品質管理
● 物流の効率化と省人化
● 環境への配慮
● 地域経済への貢献

これらが相まって、タイ事業のさらなる成長を力強く後押ししていきます。

まず、日本同様の製造環境を整えるために、国内工場と同じ性能を持つ生産設備を導入。温湿度の徹底管理により、日本と変わらない高品質な製品を安定的に現地で供給できる体制を整えました。

次に、物流の効率化と省人化。タイ国内では初となる無人フォークリフトを導入し、倉庫での保管効率を高めると同時に搬送作業の省力化も実現しています。環境面にも配慮しています。工場の屋上には太陽光発電設備を設置し、生産時のCO2排出を抑えつつ再生可能エネルギーを積極的に活用します。

さらに、地域経済への貢献も大切なテーマです。現地での雇用創出や地域の活性化を通じ、工場は経済的な側面からも存在感を高めていきます。

今回の新工場竣工は、日本品質を求める日系企業や現地企業のニーズに応えるだけでなく、今後さらに拡大が見込まれる需要への備えでもあります。サラブリ工場を拠点に、朋和産業は東南アジア市場での一層の事業拡大を目指していきます。

朋和産業_サラブリ工場
[引用元:https://www.howa-s.co.jp/company/news/detail20250828.html]

朋和産業は今後も海外への展開を強めていく

今回の舞台であるタイは日本に比べてまだまだ市場が成熟していく可能性が高いですし、これから軟包装や重包装に関するアイテムの売り上げが伸びることはほぼ間違いないと言えます。

こういったところに目をつけて実際に行動を起こすというのは簡単なことではありませんが、経験豊富な朋和産業だからこそできたのかもしれませんね。単純にパッケージといっても、それぞれの国によって求められているパッケージの種類は大きく違います。

食品を覆うためにパッケージを使うことも多いのですが、そもそも日本とタイなどの東南アジア各国では好まれる食事内容も違えば、お店で販売されている商品も大きく異なっています。根本的に考え方が違う面も多々あるので、タイに現地法人を作ることで現地の需要をリアルに理解でき、より現地の人に最適なパッケージを作ることできるのでしょう。

朋和産業は2016年には台湾に現地法人「台湾朋和股份有限公司(Howa Taiwan Co., Ltd.)」を設立していますし、2017年3月には英語バージョンの公式ウェブサイトも制作して、公開を開始しています。

さらに2021年にはアメリカに現地法人「HOWA Packaging, Inc.」を設立し、海外への展開を強めています。日本国内に限らず積極的に海外に目を向けてビジネス展開をしていく朋和産業の今後の海外展開が楽しみですね。

朋和産業株式会社について